明るくなった、室内。

早いまばたきを5、6回した律さんは、ひとつ、深呼吸をして、

「…背中を、…オレの背中を見てもらえますか…?」

真っ直ぐに私を見つめた。

その目にもう、迷いの色はなくて。

その事実にほんの少しだけ、救われて、ゆっくり立ち上がって、律さんに近づいた。

そんな私の手首を掴んだ律さん。

下から私を見つめる。

まるでそれは、あの雨の日のドラッグストアの前での出来事の再現のようで。

気がつけば、律さんの手のひらはぬくさを取り戻している。

あの日の再現ならば、今度は私が律さんを救ってみせる。

必ず。

今度は、私の番だ。