手をつなぎながら、律さんと観る映画。

何度も読み返した原作は、セリフが復唱出来そうなくらい、ストーリーが頭に入っている。

…このあとの濃厚なラブシーンがどう描かれているのかが、気になって仕方がない。

隣の律さんは、思いのほかストーリーに夢中になっている。

「…なにを、そわそわしてるんですか?」

ふいに、横に座る私に目線を向ける、律さん。

「…あ、いや…なんでもない…です、けど」

しどろもどろで答えた、私。

まさにその時、画面から流れてきた、ラブシーンに、言葉を無くす。

「ほうほうほうほう。そういうことか。なに?恥ずかしいの?」

からかい口調の律さんは、笑いながら私を眺めている。