夕方ごろふらっと現れる、おじいさんはいつも、ワンカップの焼酎を一本だけ買ってゆく。

偶然に目が合って、

「お好きなんですね。」

声を掛けたら、

「こないだ死んじまったばぁさんが好きでねぇ。毎日一緒に、飲んどるのさ。ばぁさん最期は病気で全然呑めなくなってたから、せめて、ね」

右手に持った瓶を少し持ちあげてみせた。

色んな普通の人たちの生活や人生が、ここには染み込んでいる。