No rain,No rainbow

ご飯を食べ終わって、お皿をふたりで洗って、私が紅茶を淹れている間に、律さんがDVDをセットしてくれる。

「じゃあ。再生してもいいですか?」

ローテーブルに紅茶を置くのを、手伝ってくれながら、律さんが私に問いかけた。

「はい。お願いします」

原作が大好きで、何回も読み返してたので、律さんと観られるなんて、嬉しいです。

「オレも嬉しいなぁ。あ、でもあなた、この俳優好きだからなぁ」

再生が始まった、画面に映る男の俳優さんを指差して、律さんが言う。

「…え、どうして知ってるんですか?」

話したことがないに、止まる私。

「あなた、知ってました?この俳優がテレビに映るたびに、動きが止まってますよ?」

それに、ほら、あの本棚の端っこに写真集とエッセイまで。

あなたのことは、なんでも知りたいし、知ってるんですよ?

なんて、笑う顔は心なしか意地悪で。