その刹那。

振り返った律さんは、強く私を抱きしめてくれた。

「…あなたって、ひとは…」

そのまま、静かに時間が流れてゆく。

「…え…」

雫が、私の前髪を伝って、私の頬を濡らしてゆく。

顔を上げたら、

「…律さん…どう…して…?」

夢の中で、何度もみた律さん。

大粒の涙が、はらはらと流れている。

次から次から、止めどなく。

なんとか、その涙を止めたくて、その頬に手を伸ばした。