ごはんを食べ終わって、ふたりでお皿を洗う。

お湯を沸かして、紅茶を淹れて、ゆるゆるとお喋りをする。

次から次から出てくる話題。

尽きることがない、お喋りはとても楽しい。

「…あ、もうこんな時間か」

時計は23時5分前を指している。

「そろそろ、帰ります。また明日、仕事が終わったら、迎えに行きます」

リップノイズつきのキスをひとつ残して、玄関へ向かう律さん。

なんだかその背中は寂しげで、消えてしまいそうな切なさをはらんでいる。

焦って、その背中に抱きついた。

「…律…さん、行かないで…どこにも…」