No rain,No rainbow

夕方になって、ふたりで買い物をして、ちいさな台所で肩を並べて、夕ご飯を作った。

ぐすんぐすん言いながら、玉ねぎをみじん切りにしていたら、

「ほら、オレがやるからあなたはサラダを仕上げて」

律さんが代わってくれた。

「律さん、ドレッシングは何ベースがいいですか?」

言いながら、律さんの顔を見たら、律さんも涙目になっていて、笑ってしまう。

「あなたが泣くより、オレが泣いたほうがいいでしょう」

なんて、鼻の頭を赤くした律さんが、言う。

「律さんが泣くのも、イヤですよ?」

真っ直ぐ律さんを見つめたら、

「…ありがとう…ございます」

玉ねぎのみじん切りをしている手を止めて、私のつむじにキスをくれた。