No rain,No rainbow

言われてはじめて、泣いていることに気がついた。

私の頬に手を当てる律さん。

その親指は、涙を拭き取ってくれる。

「…イヤに、なりませんか…?律さんはこんなにも優しいのに、私はいつまでも、こんなで…」

「どうして?初めて会ったあの日から、オレの気持ちは変わっていませんよ?ずっとずっと、どんなあなたも、大好き、です」

穏やかに笑う律さんを見ていたら、ますます止まらなくなる、涙。

頬に触れる律さんの手を抱き締めて、ただただ、泣き続けた。

「…私、は…、変わり…ました…、律さん…への、気持ち…」

しゃくりあげる合間で囁いた。

「…え…、どういう…」

心配そうに、私に聞いた律さんに、

「…最初に会った、あの日より、もっと、もっともっと、大好き、です」

目を上げて、一言ずつ、ちゃんと伝わるように紡いだ言葉。

ちゃんとちゃんと、伝わりますように。