No rain,No rainbow

「大丈夫、大丈夫」

背中をさすってくれる、左手、

頭を撫でてくれる、右手。

律さんの両手は、決して私を傷つけない。

「…律、さん」

「はい」

「…私は、律さんに見合ってますか?私にそんな価値、はありますか…?」

苦しくて、吐き出してしまった、言葉。

「見合う?価値って、何?」

想像していたよりも、強い声色。

はーっ。ひとつ、深呼吸をした律さん。

「…ごめん。あなたは、あなたを低く見すぎてる。なにを言っても認められなくて、押さえつけられ続けたら、そういう気持ちになるのもわかるけど」