No rain,No rainbow

「…行くわけ、ないでしょう。もう、あなたがいないと、ダメなんです…」

抱き締めて続けてくれる腕は、相変わらず優しくて。

この優しさは、私をシアワセにしてくれるとともに、少しの恐怖も連れてくる。

私にそんな価値、があるのだろうか?

"今"がこんなにシアワセなだけ、なくなってしまうのが、こわい。

ーお前じゃだめなんだよ

ーお前にそんな価値ないだろ

ーいっそのこと死ねよ

言われ続けて、軋んだ心。

定期的にやってくる、不安。

「…詩さん、」

律さんが私を呼ぶ声はいつも、甘い。

この甘さに溺れても、いいんだろうか…