そのまま、玄関先で、お互いの体を貪り合うように触れた。

それは、はしたなくも、恥ずかしくもない、当たり前のことに思える。

愛を持ってする、キスと、セックス以上に、尊いものはない、と、人生で初めて知る。

玄関のドアの向こうに、ふいに足音が聞こえて、同時に息をひそめる。

隣の部屋のドアが開いて、閉まる音がして、お互いにほっとする。

くすり。先に笑ったのは、律さんで。

「…危なかった…ですね…?」

今度は、にやりと笑ってみせた。

たまには、スリルがあっていっか。…ね…?なんて、私に同調を求めているけれど、

「…律さん、ひとつ、お願いが…」

「はいはい。なんでしょ?」

なんて、余裕の笑みで、私の手の甲にくちづけた。

下から私を見つめる目から、目が離せない。

「…ベッ…ド」

なんて、区切られた私の単語に、絶対気がついているくせに、

「…ん…?なぁに…?」

構わず聞き返す、確信犯。