私の部屋の玄関先で、走るたびにちゃぷちゃぷ音がしていた、スニーカーを脱いで、逆さまにしたらちいさな滝になって、水が流れて、ふたりで目を合わせて笑った。

律さんの脱いだスニーカーも、逆さにしたら滝が出来る。

体が冷たくなってしまう前に、上着を脱いだら、

「さっきのあなたの話は、オレへのリクエスト、ですか?」

「…さっきの…?」

聞き返した私に、

「無防備でいられるのは、このあとに抱き締めてくれると分かってるから。って」

「……、い…や…?そういう、わ…け…じゃ…」

途切れ途切れの私の言葉が、完全に途切れたのは、

「…?!…ん…っ…!!」

律さんが私に、激しいキスをしたから。

「…大きな…声…が…出せない…ように…ず…っと…ずっと…塞いで…ようか…?」

合間合間に、言葉が差し込まれる、激しいキス。

立っていられなくて、もつれ合うように玄関に、座り込む。

もちろん、下になって衝撃を防いでくれた、律さん。

自動的に、上から律さんを見下ろす格好になる。

思い切って、私からキスをして、ゆっくり離れた。

私を見上げる律さんの両目はひどく、セクシーで、思わず目線を外したら、

「オレを見てて?…ずっと、ずっと、オレだけを見てて」

懇願みたいな焦燥感が、律さんから伝わってきて、思わず泣きそうになる。