土砂降りの雨の中、律さんに手を引かれて、走る。

瞬く間に、頭の先からつま先まで、雨が染み込んでゆく。

初夏の雨は、ぬくくて、律さんの体温と同じで安心する。

いや、律さんの体温が繋がれた指先から、私の全身に巡っているからなのか。

そんなことを考えながら、ひたすら、走る。

たまに、振り返って、

「大丈夫?」

声をかけてくれる、その声色さえぬくくて、

全身をシアワセな温度が包んでゆく。

何1つとして、怖くはない。

私のちいさな世界はすべて、律さんで作られているという、確信。

それは、何よりも優しく、安心できて、あたたかい。