「そんなお手間はかけさせられません。大丈夫です」

丁寧に辞退したのだけれど、

「どっちみち、今、休憩時間で暇してるんですよー着るだけはタダです!試着しちゃいましょう!!」

ノリのいいお姉さんは、早くも私の腕に手を掛けている。

「…ちょ!律さんっ!どうにかしてくださいよ」

振り返った私に、

「じゃあ、このドレスでお願いします」

さっきのドレスを手に持っている。

「かしこまりましたー!」

律さんからドレスを受け取ったお姉さんは、

「可愛くしてきますねー」

律さんに微笑んだ。

「あ、元から可愛いんで」

「わー!ステキ!ステキですぅ!!」

2人で勝手に盛り上がっている。