頬に触れた瞬間、ゆっくり目を開けた律さん。

赤く潤んだ目は、それでも優しく私を見つめている。

「…律さん、涙が…」

どうにかしたくて、目に溜まった涙が流れた瞬間、親指で涙を拭き取った。

その私の手を取って、柔らかに口づけた律さん。

律さんの涙はいつの間にか止まっていて、安心する。

「…ありがとう、ございます」

いちど、恥ずかしそうに長めの瞬きをして、

「…夢を、みてました。あなたがいなくなってしまう夢だったので、悲しくなってしまいました…」

いなく、ならないでくださいね…?

なおも私の手の甲にキスを落としている。