疑いの目を向ける私に…

「消しましたっ!消しましたって!大丈夫です!


って、何が大丈夫なのだろう…?

「とにかくっ!消したんでっ!!すみませんでしたっ!失礼しますっ!!」

まくし立てたと思ったら、勢いよく腰から90度のお辞儀を残して、逃げるように走って行ってしまった。

残されたのは、ぽかんとしたままその場に突っ立っている私。




この出会いが、これからの、いや、今までの私の世界まで変えてしまうほどの、優しいものになるだなんてこの時の私はまだ、知らない。