小一時間のお喋り。

内容もないような、他愛のない、でも愛おしいお喋り。

次から次へと話題が出てくるのは、もっと相手を知りたいから。お互いに。

「雨、上がりましたねぇ」

「わ、ほんとですね」

とっくに空になったカップには、私たちのお喋りが詰まっている気がして、そっとソーサーを載せてみる。

他の誰かに聞かれないように。

私と律さんだけの、愛おしいお喋り。

カランカランとドアベルを鳴らして、外に出た。

そのときにはもう、当たり前のように繋がれている、左手と右手。