あやかし戦記 葛藤の炎

しかし、三人はジェイムズに人狼を倒したということを報告するのを忘れていた。それに気付いたヴィンセントが式神で連絡を取り、たまたま任務でその国の近くにいたエイモンがホーリー村に立ち寄り、ジェイムズに報告することになった。

「おや、エイモンくん。三大戦闘員になったんだってね。チェルシーくんやツヤくん、ギルベルトくんは元気にしているかい?」

イヅナたちには見せることのなかった笑顔を見せ、紅茶とお菓子を振る舞い、ジェイムズは言う。エイモンは「お気遣いなく……」と言いながら、人狼についての報告をした。

「そうか、ニコラスが人狼だったのか……。村の子どもたちはショックだろう」

ジェイムズは笑顔を崩して俯く。しかも最悪なことに、彼の生徒がニコラスを倒す瞬間を目撃しているのだ。誤魔化すことはできないだろう。

「子どもたちの心境を考えると、胸が痛みます。ですが、我々アレス騎士団の新人たちも心を痛めているようです」

エイモンがそう言うと、「何故だ?アレス騎士団は妖と戦う組織だぞ」と言いながらジェイムズは顔を上げる。エイモンは切なげに微笑んでいた。