何としても捕獲しなくては、そんな思いでイヅナが間合いに入ろうとした刹那、枯れ草にブーツが滑り、その場に背中から転んでしまう。
「いった……」
イヅナは痛みに顔を顰めるも、痛みに浸っている余裕などない。現にニコラスはイヅナ目掛けて手を振り下ろそうとしている。
鋭い爪が皮膚を貫くのを覚悟し、動けなかったイヅナは目を閉じる。しかし、爪が当たる前にヴィンセントがイヅナを支えたまま地面を転がり、イヅナが傷付くことはなかった。
「イヅナ、怪我はない?」
そう訊ねるヴィンセントは優しく微笑んでいる。しかし、背中はニコラスの爪が掠ってしまったようで、血が滲んでいた。かなり大きな傷だ。イヅナは息を飲む。
「ヴィンセント、ごめんなさい!私のせいで怪我を……」
謝るイヅナの手をヴィンセントが強く握る。その目は悲しげで、しかし強い意志を持った美しい目だった。
「イヅナ、ニコラスさんはもう僕たちで対処できない。捕獲することはもう不可能だ。だから、あの人狼の心臓を斬って全てを終わらせてほしい」
「いった……」
イヅナは痛みに顔を顰めるも、痛みに浸っている余裕などない。現にニコラスはイヅナ目掛けて手を振り下ろそうとしている。
鋭い爪が皮膚を貫くのを覚悟し、動けなかったイヅナは目を閉じる。しかし、爪が当たる前にヴィンセントがイヅナを支えたまま地面を転がり、イヅナが傷付くことはなかった。
「イヅナ、怪我はない?」
そう訊ねるヴィンセントは優しく微笑んでいる。しかし、背中はニコラスの爪が掠ってしまったようで、血が滲んでいた。かなり大きな傷だ。イヅナは息を飲む。
「ヴィンセント、ごめんなさい!私のせいで怪我を……」
謝るイヅナの手をヴィンセントが強く握る。その目は悲しげで、しかし強い意志を持った美しい目だった。
「イヅナ、ニコラスさんはもう僕たちで対処できない。捕獲することはもう不可能だ。だから、あの人狼の心臓を斬って全てを終わらせてほしい」

