ニコラスが鋭い爪のある手を振り下ろし、イヅナはそれを咄嗟に避ける。そして「こっちにおいで」とニコラスに背を向け、村とは反対方向の森へと走り出す。ニコラスは「グルル……」と低い声を出しながらあとを追ってきた。
舗装されていない森の道を、ただイヅナは走っていく。ニコラスの手は何とか交わし、森の奥の方までやってきた。刹那、木の陰から何かが唸り声を上げてニコラスに飛びかかる。それは、立派なたてがみを生やしたレオナードの式神の獅子だった。
「行け、俺の式神!ニコラスさんの体力を消耗させるんだ!!」
レオナードが姿を現し、荒い息を吐いているイヅナを支えながら獅子を鼓舞する。獅子はニコラスに噛み付き、ニコラスに攻撃されても決して離そうとしない。
「グウッ!ガウッ!」
「ヴゥゥゥゥゥ!!」
互いに威嚇し合い、決して引くことはない。ニコラスの意識は完全に人間ではなく、自身に向かってくる獅子である。このチャンスを木の上にいたヴィンセントは逃さなかった。
ヴィンセントが何かを投げる。それは、ツヤからもらった麻酔の針だ。ニコラスは獅子が足に噛み付いて動けなくなっている。そこに麻酔の仕込まれた針が刺さり、ニコラスはふらりとその場に倒れた。
「今だわ!」
イヅナとレオナードは倒れたニコラスの体にロープを巻き付け、解けないようにしっかりと縛っていく。そしてその上に巨大な網を絡ませ、逃げられないようにした。
「……まさかうまくいくなんて」
ヴィンセントが驚き、レオナードも何度も頷く。訓練通りに捕縛作戦が成功し、イヅナは「よかったぁ……」と胸を撫で下ろした。
「せっかく捕まえられたんだから、早くツヤさんに連絡しないとね」
ヴィンセントが自身の式神である雄鹿を出し、手紙を雄鹿に運ばせる。式神による伝達は早い。一時間もしないうちにツヤから連絡が来るだろう。
「ニコラスさんが逃げないよう、しっかり見張っとかないとな」
舗装されていない森の道を、ただイヅナは走っていく。ニコラスの手は何とか交わし、森の奥の方までやってきた。刹那、木の陰から何かが唸り声を上げてニコラスに飛びかかる。それは、立派なたてがみを生やしたレオナードの式神の獅子だった。
「行け、俺の式神!ニコラスさんの体力を消耗させるんだ!!」
レオナードが姿を現し、荒い息を吐いているイヅナを支えながら獅子を鼓舞する。獅子はニコラスに噛み付き、ニコラスに攻撃されても決して離そうとしない。
「グウッ!ガウッ!」
「ヴゥゥゥゥゥ!!」
互いに威嚇し合い、決して引くことはない。ニコラスの意識は完全に人間ではなく、自身に向かってくる獅子である。このチャンスを木の上にいたヴィンセントは逃さなかった。
ヴィンセントが何かを投げる。それは、ツヤからもらった麻酔の針だ。ニコラスは獅子が足に噛み付いて動けなくなっている。そこに麻酔の仕込まれた針が刺さり、ニコラスはふらりとその場に倒れた。
「今だわ!」
イヅナとレオナードは倒れたニコラスの体にロープを巻き付け、解けないようにしっかりと縛っていく。そしてその上に巨大な網を絡ませ、逃げられないようにした。
「……まさかうまくいくなんて」
ヴィンセントが驚き、レオナードも何度も頷く。訓練通りに捕縛作戦が成功し、イヅナは「よかったぁ……」と胸を撫で下ろした。
「せっかく捕まえられたんだから、早くツヤさんに連絡しないとね」
ヴィンセントが自身の式神である雄鹿を出し、手紙を雄鹿に運ばせる。式神による伝達は早い。一時間もしないうちにツヤから連絡が来るだろう。
「ニコラスさんが逃げないよう、しっかり見張っとかないとな」

