あやかし戦記 葛藤の炎

「眠い……。いつも思うけど、任務って夜にずっと起きて活動しなくちゃいけないことが多すぎるわ。肌荒れしちゃう」

寝不足になれば、恐ろしいほど肌の調子が悪くなり、目の下に濃い隈ができ、十五歳とは思えぬ姿になってしまう。それに恐怖を覚えつつ、任務をバリバリこなすチェルシーやツヤの肌が綺麗なことを不思議に思った。

「どんなスキンケアをしているか、この任務が終わったら聞いてみようかしら」

チェルシーはニコニコ笑いながら教えてくれるだろう。ツヤは「お前は任務中に何を考えているんだ!」と怒鳴ってきそうだが。

空を見上げれば、綺麗な満月と都会では見えない宝石のような星たちが煌めいている。美しい夜空は警護を始めた時から何も変わっていない。

イヅナが一つ大きなあくびをした刹那、「ニャアン!!」といつもより大きな声で鳴きながら式神が戻ってくる。とても慌てている様子だ。

「どうしたの?」

白猫が咥えているメモ用紙を開けると、ヴィンセントの字で文が書かれている。レオナードの見回りをしていたところに人狼が現れ、レオナードが戦っているそうだ。