あやかし戦記 葛藤の炎

消しゴムが落ちてきた上を見ると、教室の窓から三人の生徒がイヅナの方を見ている。ブラウンのショートカットの髪をした気の強そうな女の子、金髪でぽっちゃりしている男の子、そばかすが顔にある青みがかった髪の男の子がいた。

「この消しゴム、あなたたちの?」

イヅナが消しゴムを拾って三人に見せる。すると、女の子が嫌そうな顔をして「よそものが触った!バイ菌が移る!」と騒ぎ始める。騒ぐ女の子の横でそばかすのある男の子はイヅナと女の子を見てオロオロし、ぽっちゃりした男の子はボウッとしている。

「えっ……」

どう反応すればいいかわからず、イヅナは呆然としてしまう。そんな中、ツヤが他の任務を大量に引き受けてこの任務をイヅナたちに任せた本心がわかった気がした。

(小学校で生徒が亡くなっていたら、ここに来なくちゃいけないわ。子どもと関わるのが嫌だったんですね)

ガキ共と怒鳴る鬼の戦闘員の顔が頭に浮かぶ。刹那、「こら、君たち何してるんだ!!」と男性の声がイヅナの背後から聞こえる。振り返った刹那にイヅナの目に飛び込んだのは、この村で見たことのない特徴的な人だった。