トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜



「唱馬、やっぱりここでいいよ。
だって、恋人同士でもないのに、男の人を部屋に入れるのはダメだと思うの。
ここは馨月亭の寮だし」

男の人って言ったけれど、唱馬は馨月亭グループの御曹司で普通の男の人とは違う。
生真面目な私は、やんわりと唱馬の親切心に釘をさした。
すると、狭いエレベーターが動き出した途端、唱馬は私を力強く抱きしめた。
私の首元へ顔を埋め、クスッと笑う。

「さくらがマスクをしてなかったらキスをしたのに。
でも、今日、僕はさくらにキスをする。
慈恩より先にね。
そんな関係だよ、僕達は」

恋愛初心者の私は、こんなドラマのようなシチュエーションにときめきが止まらない。
抱きしめられて、どういう風に息をしていいのかも分からない。
心の中であたふたしていると、エレベーターが三階で止まりドアが開いた。
唱馬は私を抱きしめる腕の力を抜いた。
私はその心地よい束縛から解放され、ちょっと寂しくなる。