トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜

「このパックはもう少し改善が必要という事で今年は無し!だそうです」



鰺坂さんは眉間に皺を寄せながら、私の事を抱きしめた。

「そんなの最初から分かっている事なのに、高梨さんにこんな仕打ちをするんだから。
でも、楽しかった。
そうよね、みんな。
この時間は無駄じゃなかった。
だって、こんなに笑ったのは本当に久しぶりだものね」

皆の目に、私はきっとピエロに映っているのだろう。
でも、今さら嘆いてもしょうがない。自分がそうしたいと言ったのだから。
エステのスタッフも皆が私を抱きしめてくれた。

「それにしてもあの慈恩っていう男…
フォローも何もなく出て行くなんてひど過ぎる。
後はよろしくって、もう開いた口が塞がらないわ」

鰺坂さんはつぶやくようにそう言った。
私は何だか心に穴が開いたような気分になっていた。
帰り際、慈恩から何か一言が欲しかった。
「お疲れ様」とか「迷惑かけたね」とか、そういう言葉があれば何となく救われたのに。
今の自分の姿が切なくてしょうがない。