私の容赦ないゾンビのような真っ赤な顔を、何度もスマホで写真を撮っている。
その事に気付いた私は、ある意味、ゾッとした。
こんな顔を画像として残してどうするの?
ハロウィンのかぼちゃの横に貼り付ける?
フリージアのタブレットのサムネイルにこの顔を貼り付けられたらたまったもんじゃない。
そんな事を真顔で考えている間も、慈恩はスマホで私の顔を撮っていた。
「慈恩さん、これはお客様には提供できないですよね?」
鰺坂さんは笑いを堪えながら、そう聞いた。
でも、慈恩は笑っていない。
慈恩の笑っていないその顔が、楽しく笑い転げるスタッフを凍り付かせた。
「一度、ちゃんとした写真を撮ってみよう。それから、考える」
慈恩は真剣な表情でそう言った。



