トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜



その鏡の中には、桜餅でもない柏餅でもない紅葉の葉っぱにくるまれた真っ赤な生き物が映っている。
特に、目の回りが恐ろしい。
ギザギザ模様の真ん中に私の血走った瞳がしっくりきて、どう見ても紅葉のゾンビにしか見えない。
首まで真っ赤な完全なゾンビだ。

「こ、これって、インスタ映えします?
怖くないですか…?」

皆が言えない事を私が言ったみたいで、もう、全員が笑いを堪えるのが限界にきている。
もちろん、私も含めて。
鰺坂さんは笑いの神が舞い降りたみたいに笑いが止まらず、死にそうな顔をしている。
他の女性のスタッフも涙を流して笑っていた。
もちろん私だって、自分の姿を鏡で映しては腹筋が壊れるほど笑った。
でも、男性スタッフは、少し離れた場所からそんな女性スタッフの様子を恐る恐る見ている。
見たいけど、見たくない…
男性スタッフがそんな気持ちになるほどに、女性スタッフは異様なほどに盛り上がっていた。

でも、慈恩は違った。