「よし、じゃ、たくさん拾わないと」
慈恩は次期社長になる人で、慈恩が紅葉パックをすると言ったら私達は従うしかない。
でも、もしかしたら、このアイディアは素晴らしい企画なのかもしれない。
私は目を閉じ、そして大きく目を見開いた。
今日は慈恩の意見を最優先で進めていく。それが私の仕事なのだから。
慈恩が車を停めた場所は、私の知らない場所だった。
でも、ちゃんと駐車スペースが作られていて、山の中へ向かう道も線路の枕木のよう木材が敷き詰められている。
私が知っている山への入り口は獣道みたいに細くて草木が生い茂っていた。
でも、ここは、何だか様子が違う。
「そんな格好をしなきゃ、山には入れないの?」



