トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜



でも、次期社長になる人間だから、そんな事は当たり前なのかもしれない。
フリージアのイベントまでちゃんと把握する事は。

「ありがち、だな」

「え?」

「秋に紅葉っていうのは、まあ、まだいいとして、紅葉スパの目玉が紅葉の浮いたお風呂っていうのはどうかと思うんだけど」

さっきまで大人しくしていた私も、黙ってはいられない。

「それが目玉ではありません。
洋風な雰囲気のトリーメントルームで、少しだけ和の雰囲気を味わってもらう。
お土産に紅葉をモチーフにしたフリージア特製の手ぬぐいも準備しています。
大きな窓から見える秋の風景を楽しみつつ、リラックスしてもらおうと」

「エステしているお客様は風景とか見えないんじゃないのかな?」

私は何も反論できなかった。
でも、最後の入浴に紅葉を浮かべたお風呂を堪能してもらう事で、秋を味わってもらえればと考えていた。
でも、慈恩を前にしてあれこれ反抗する元気はない。
心は彼に夢中だから。