トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜



慈恩の肩書が分からない私はとっさに慈恩様なんて言ってしまった。
いや、大丈夫、とりあえず様を付ければ何事にも間違いはない。
慈恩は、きっと挙動不審者のような私を見て、顔をニヤつかせている。
そんなワイルドな表情は、ますます私の心を動揺させた。

「君はさ、本当に面白いよね。
この間はプロレスラーのようで、今度は土木作業員のような格好をして、俺の前にはコスプレしないと登場できないみたいだ」

そう言って、慈恩は笑った。
慈恩の屈託のない笑顔によって、私の心臓は胸キュンの矢が刺さりまくり、もう出血多量の瀕死状態だ。

「コ、コスプレではありません…
私はいたって真面目です…」

真剣にそう答えたのに、慈恩はますます笑った。
慈恩の笑顔が素敵過ぎて、過呼吸で倒れそう。でも、こんな作業着の格好をして倒れるわけにはいかない。冗談でも笑えない。
慈恩は笑い終えると、私の腕を掴んだ。