トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜



そして、この一瞬の間に慈恩との約束事も思い出した。
必死な働きぶりをこの御曹司様に見せる事、そうじゃなきゃ私はこのフリージアをクビになってしまう。
あ~、でも、それにしても、今日の慈恩様も麗しくてカッコいい。
黒縁の角ばった眼鏡をした凛々しいお顔は、癒し系ワンコの唱馬とはまた違った大人の魅力が漂っている。
それに、やっぱり、幕末の獅子のようなそんなオーラが私には見える。

ほんのわずかな時間に、私の頭の中は様々な感情で溢れかえっていた。
でも、まずは、仕事をしっかりこなす事。
慈恩に惚れている女の部分は封印して…
とはいえ、私に女の部分なんてあったのか? 
恋する乙女とはどういう行動を起こすのか、それすらも理解していないのに。

私は声を裏返しながら、慈恩の質問に答えた。

「あ、あの、紅葉を… 
紅葉の葉っぱを、拾いに行く仕事なのですが、次期社長?いや、御曹司?いや、じ、慈恩様?は付き合わなくても大丈夫です」