トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜



今の表情は悲観的ではない。
逆にワクワクしている少女のように見えて、俺は内心ホッとしていた。
ウェッジウッドのマグカップに濃い目に淹れた紅茶を注ぎ、その後に温めたミルクを注ぐ。
そして、水面にできる白い膜を取り除く。
イギリス人の母がよく作ってくれたミルクティを、今、俺はさくらに作ってあげている。
それも、どういうわけか、ありったけの愛情を込めて。
そして、最近、イギリスの母から送られてきたビスケットとクッキーを、缶ごとテーブルの上に置いた。

「ちょうどよかった。
このクッキーの詰め合わせ、マミーから送ってきたばかりなんだ。
もう三十歳も近いっていうのに、親からしたらいつまでもたっても子供なんだろうな」

俺はマグカップとお揃いの取り皿をさくらの前に置いた。
さくらは肩をすくめてニコッと笑う。
嬉しくてしょうがないみたいに。
そして、俺はクッキーを適当に皿の上に載せると、一つつまんで紅茶に浸しパクリと食べた。
すると、さくらの大きな目は更に大きくなる。