トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜



重厚な玄関ドアを開けて、さくらを中へ入れた。
人の気配を察知した間接照明が玄関ホールを明るく照らし、短い廊下の先にあるリビングへ誘導してくれる。

「素敵なお部屋…」

さくらはその先の言葉が出てこないらしい。
新築物件だったこのマンションを一目で気に入った。
高い建物が少ない京都の街では、十一階でも美しい夜景を堪能できる。
間取りはシンプルで、リビングルームの大きな窓と高い天井がお気に入りだった。

「専務のイメージからは想像がつかない。
真っ白を基調に木の温もりで溢れてて…
温かい雰囲気の素敵なお部屋ですね」

俺はそんな風に微笑むさくらを、カリモクの天然木でできた大きなソファに座らせる。
そして、紅茶のポットをキッチンの棚から取り出してアールグレイの茶葉を蒸らし始めた。
深夜のこの時間、冷えた体は温かい飲み物を欲している。
さくらはソファに腰かけて、そんな俺の事をジッと見ていた。