その先の未来は、これからのさくらの態度次第。
俺はギャンブルを楽しむみたいに、そっと、さくらの髪を触る。
そして、右手でさくらの顎を優しく持ち上げた。
くちびるが触れるか触れないかあたりで、しばらく沈黙する。
キスをしたいけれど、さくらの気持ちを確かめたい。
俺を求めているのかどうかという事を。
もっと言えば、唱馬を裏切れるかという事を。

すると、さくらは、ためらいがちに俺のくちびるに自分のくちびるを重ね合わせた。
しっとりとねっとりと。
ほんの数秒、俺達は熱いキスを交わした。
その数秒のとても短いキスだけなのに…
俺もさくらも情熱に煽られた欲望が頂点に達してしまう。
もう後戻りができないほど。

「明日、休みなら…
こんな遅い時間からだけど、俺とデートしよう」

さくらは返事の代わりに俺のくちびるを塞いだ。
もう言葉すら必要ない。
俺達はお互いを求め過ぎている。
盛りのついた獣のように。
俺は必死の思いでキスを終わらせた。
とにかく平常心に戻さないと、この狭い車の中であの行為が始まってしまう。
それもコンビニの駐車場で。