図書室の仕事はあまり気が進まない。
専務の癒しの場所だという事を知っているから。
「二宮さんが担当なんだけど、お子さんが熱が出ちゃって、急遽、お休みになったの。
海外のお客様から寄贈された本がかなりたまっているみたいで、リストに打ちこんでもらう作業だけでもお願いしていいかな?」
鰺坂さんは手を合わせて、私に頼んできた。
確かに、図書室の本の管理は、二宮さんと私で主にやっている。
私は、渋々、頷いた。
専務さえ来なければ何も問題がない仕事だし、さっさと片付けてしまえばいい。
私は鰺坂さんと別れると、急いで図書室へ向かった。
夕方までの担当のスタッフと交代すると、私はカウンター奥にあるパソコンを立ち上げる。
その新しい本には、事前に二宮さんがバーコードのシールを貼ってくれていた。
そのバーコードをスキャンして、本棚の順に並んでいるリストへ振り分けていく。
本に痛みがないかチェックしながらの作業は、思っていた以上に時間がかかった。
その間に数名のお客様が訪れて、探している本を調べて教えてあげたりした。



