その日の天気は快晴だった。
私にとって、その青空だけが唯一の救いだった。
だって、心はどんよりと真っ黒な雲に覆われている。
今日は夕方からの出勤で本当に良かった。
そして、唱馬と入れ替わりのスケジュールに、内心ホッとしている。
揺れる心に変わりはない。
自分の気持ちに確信が持てない今、私は何も決心ができなかった。
フリージアの中へ入ると、心が穏やかになっていくのが分かった。
大きく息を吐いて、フリージアの古い建物の匂いを体に取り入れる。
そうすると、不思議と頭の中のスイッチがオンに切り替わってくれる。
私は制服に着替えて、新しいマスクで顔を包み、ロッカーの鏡に映る自分に檄を飛ばす。
「プロ意識のある者は、仕事場に私情を持ち込まない」
散々、私情を持ち込んでいる私には、かなり響く言葉だった。
今日は仕事に専念する。
そういう日々を送っていれば、きっと、おのずと答えはやって来るはずだから。
「さくらちゃん、今日は、図書室の管理を任せていい?」
「え、でも、今日はフロントの担当の日ですけど…」



