トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜



私は駆け足で部屋へ向かいながら、「ごめんね、寝落ちしてた」と返信する。
続けて、「スマホに全然気付かなかった、本当にごめん」と。
でも、部屋のドアを開けた瞬間、目の前が真っ白になった。
唱馬がソファに座ってこちらを見てる。
片手にスマホをもちながら。

あまりに突然過ぎて、私の中で気の利いた言いわけの言葉が出てこない。
唱馬が家に来てるなんて、考えてもなかった。
言い訳どころか、挨拶の言葉も出てこない。
私って、一体、どんな顔をして唱馬を見ているのだろう…

「おかえり」

唱馬はそう言うと、ソファから立ち上がった。

「て、手を洗ってくるね」

冷静になれ、私。
でも、冷静になってどうなるの?と問いかける私もいる。
水道水を流しっぱなしにしながら、私は小さく息を吐いた。
もう、ありのままを話すしかない。
そう思って洗面台のミラーに目をやると、後ろに立っている唱馬と目が合った。
私の心臓はまたドクンと鳴った。