トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜



私は首を横に振るしかなかった。
そんな事、全然考えていない。
でも、胸が詰まって言葉が上手く出てこない。
専務を好きな気持ちが、コップから水が溢れ出るように私の心からどんどん零れ落ちる。
この涙の理由は、自分でもよく分からない。
ただ好きという気持ちだけ。

「でも、この場所へ俺を連れて来てくれたさくらに、感謝もしてるんだ。
家族がバラバラになってから、一度も訪れてなかったから」

私は無意識に専務に抱きついた。
専務の心の傷を癒してあげたいと思った。
きっと、家族の事を今でも愛している。
そんな私を、専務は持ち上げて自分の膝の上に座らせた。

「さくらは俺の事が好きなんだろ?」

意地悪な専務は、好きな気持ちを抑えられない私にそんな質問をする。
恋愛の仕組みを、今、初めて知った。
好きな気持ちに嘘はつけない。
心が熱く燃えている。私の理性を焼き尽くすみたいに。
私は目の前に座る専務に強く激しく抱きついた。