「また、こんな寒い中なにやってんの」

「暇つぶし」

2日ぶりに会った男は、真っ黒なコートに身をつつんで、ポケットに手を入れたままガードレールに軽く座る私に声をかけてきた

街頭と店舗の照明に少し色落ちした赤髪が照らされる
この前はよく見えなかったけど、根元は少し黒い

「もっと暖かい場所に居なよ、風邪ひくよ」

「馬鹿は風邪ひかないので、多分大丈夫です」

「そんなの迷信だよ、いつまで暇?」

「22時までです」