テーブルの上に置いていた財布とケータイをこげ茶の革のトートバッグの中に入れて、玄関に向かって歩き始める鳴海の後ろをついて行く

エレベーターで1階まで降りて、エントランスを抜けて駐車場へ向かう

外は少し蒸し暑くて、屋根の下にあるとはいえ、車の中も熱気で包まれていた

「あついね、飲み物持って来ればよかった

コンビニまで買いに行こうか」

車のエンジンをかけて、すぐにエアコンの温度を25度まで下げて、風量を上げる

助手席に座って鳴海のバッグを受け取って、膝の上に乗せれば、チカチカ、と何かがバッグの中で光っていて

バッグの中を覗き込めば鳴海のスマートフォンがサイドポケットで着信を知らせていた