しばらくしてドアが空いて、入ってきたのは黒髪の長身でスラリとしたスーツの男性
さっきの警官とは違う、清潔感があって綺麗な人
そして、見知った顔
「急に失礼致しました
2、3お伺いしたいことがあり、お邪魔させて頂きました」
ふわりと香る香水の匂いは、私があげたものと同じ匂いがする
鏡の横に着いていたカーテンを締め切って、ゆっくりとした動作でパイプ椅子に座る
「小山陽菜さん、これ名刺です」
胸ポケットから名刺入れを取り出して、2枚名刺を左手で私の方に差し出してきて、薬指には見覚えのある指輪がついている
喧嘩別れをしたせいか、どことなく冷たい返事に心が痛い