その時「補佐誰か置いとけ」と若頭に言われて、ナルが指名して来たのが俺だった
喧嘩もそこまで強くないし、下っ端から昇格できずにずっと金融屋で金貸しをしていて、金もろくに回収出来ずに自分が負債を抱えるくらい向いてなかった

負債の200万円を全部ナルが払ってくれて、俺を補佐として引き入れてくれた
なんで引き入れたかは知らないが、ヤクザになりきれない俺からすれば、とっくに染まりきったナルが少し羨ましかった

ナルの傍で動いて半年たった頃に抗争が起きた
うちが海外から輸入した薬物をかっさらった連中がいて、そいつらと全面抗争になった

2週間お互いが死者を出して、警官までも殺したたにも関わらず手打ちで解決したのは、若頭である水野匠也が死亡したからだった

事務所ビルで銃撃戦をしていた最中に撃たれて亡くなった
若頭の席が空いて、その席に収まったのがナルだった

金を生み出す才能と人をまとめる才能に秀でたナルは周りの幹部連中を黙らせて若頭として頭角をすぐに表した