「近くで飲んでたからな、見物だ」

水野会の会長の長男で若頭の水野 匠也
口に傷のあるのが特徴の大柄な男
32には見えない髭が歳を混乱させる

水野会にナルを引き入れたのは、若頭だった
乾 鳴海という名前をもらい、俺と同じ下っ端として働き始めた
フロント企業で金融屋をやったが、回収率が1番高かったのがナルだった

同室で、2段ベッドの上でたまに泣いているナルの口から日本人ではない女の名前が聞こえていたことが何度かあったが、俺はそれが誰か聞けなかった

何をさせてもそれなりにできるナルはすぐに昇進して、気がつけば21歳の時に幹部にまで昇進していた