大事な取引の前に、ネズミを一気にあぶりだしてしまう作戦のようで、すぐに終わりそうにはない

『23時には終わる

夜ご飯食べさせてから部屋に戻してくれ』

「兄貴は?」

『あぶり出しの最中』

「了解、ありがとう」

返事をしたあと、すぐに電話が切れる
俺の兄貴は、乾の相方をしている
父親が違うけれど、それなりに構ってくれるし、7歳違いで歳もそれなりに離れてはいるけどギクシャクもしてない
ご飯もよく行くし、家も同じ家に住んでいる

スマートフォンをポケットに入れて、店の中に戻る
陽菜ちゃんが座っているテーブルの席の横の席に知らない男が1人座っていて、4人用テーブルに1人座るなんておかしな男だな、と思いながらテーブルに近づけば、陽菜ちゃんの口が動いていて、その男と会話をしていることに気がついて慌てて近寄る