「乾かすよ」

後ろでドライヤーの音がしているのを聞きながら、目を閉じたまま髪が乾くまでじっと立ち尽くす

「はい、終わり」

「ありがとう」

ドライヤーの音が止まって、ゆっくり目を開ける

「乾さんってさ、慣れてるよねこういうの」

ドライヤーを収納スペースに片付けるのを見ながら、生活感がない割に、普通に難なくこなす乾さんに違和感を持つ

「んー、大人だからね」

「そっか、そうだよね」

その”大人”がどこまでを意味するのか分からないけど、どこかその言葉に壁を感じる