ずるずると後退りしながら城の中に入ろうとする。

が、目の前の2人組は一気に私たちに近づいてくる。



「リラ様っ!中に走って!!」

「ミアも!!」


リラ様を押したはずの手がまた握られ、2人で背を向け走り出す。


「キャッ!!」


ドレス姿のリラ様と裾の長い使用人服の私
すぐに捕まり、口元を塞がれる。


リラ様っ……!!


逃れようともがくも、さらに強く捉えられる。



だんだんと意識が薄れていく。


……リラ様



繋いでいた手が離れていくのを感じたのを最後に意識が途切れた。










「やっぱり難しいよな…。」

「すみません。手慣れたと言いましょうか、そういうことに関することは本人たちのみで行っているようでして。使用人たちからは日頃の愚痴しか集まらず…。」




解読した貴族たちに探りを入れ始めて2週間
これといった情報は手に入れてなかった。


その上、異変を感じたのかノースをはじめとしたラース、サバチエ、オーラグが立て続けに城へとやって来た。


王への謁見らしく、用件は特になかったらしい。

ただ、『何か御用かと思いまして。』と言っていたそうだ。