「すみません施設長。また今度でよろしいですか?」


「今が良いの。今が。」


「ごめんなさい。ミア、私と離れられないの。」



立ち上がったリラ様が私の側に手を握ったまま来てくれる。



「あとは任せるわ。悪いけど、片付けもお願いできる?」

「分かりました。」


騎士に後を任せ、ここから離れようと私の手をぐいぐい引っ張って歩くリラ様

それについて行きながら、施設長が気になる。


何で城にいるのか…。
施設長たちは気づいたら皆いなくなっていた。

何があったのか知らない私たち

ノイと話して、部屋から出ないようにしていたのを思い出す。



施設長は気性が荒い。あの時は小さい子たちを守るため立ち向かえていたが、すっかりこの城の安心感に守られている今の私には、施設長が恐怖に見えた。



ぐるぐると考えていると、リラ様の足が止まった。

不思議に思ってリラ様を見れば、私たちの目の前に黒いマントを被った2人組がいた。


咄嗟にリラ様を引き寄せ、背中に隠す。
ぎゅっと握られた手は、さっきより強い。