ああ、もう最悪。
さすがにピカピカの洗面台に戻すわけにもいかず、私はトイレの便器をしばらく抱えていた。

自分でもお酒がつよいと思っているわけではない。でも、こんな醜態はさらしたことがなかった。
それも、さっきの様子からするとここは皆川先生のおうちで、私が今着ているのは男性物のスエット上下。きっと先生のものだと思う。

あー、どうしよう。
ここから消えてなくなりたい。

トントン。
ドアをノックする音。

「どうした、大丈夫か?」

心配そうな声が聞こえるけれど、私には返事をする気力がない。

「大丈夫か?いいからドアを開けろ」

ガチャガチャとドアノブを回す音。
思考の止まってしまった私は動くことができず、ただ座り込んでいた。

「開けないならドアを壊して入るぞ」

え、それはさすがにマズイ。
慌ててドアの鍵を開けた。