「どうするんですか?」

あんなに目立った退出の仕方をすればまた噂が広がってしまうって、皆川先生だってわからないはずはないのに。

「歩けなくなるほど酔っ払う奴が悪いだろ」
「それは・・・」

確かに私が悪いのかもしれない。でも、好きで飲んだわけじゃないし、飲み会に参加すればこんなことだってある。

「で、どうするんだ?このまま帰るのか?」

店を出てたまたま乗り込んだタクシーの中。
時刻はまだ9時過ぎ。急いで帰らないといけない時間ではないけれど、こんなにフラフラの状態で帰れば副院長も奥様もきっと心配するだろう。

「どこかで酔いを覚ますか?」
「そうですね」

少し酔いを覚まして落ち着いた頃に帰る方が無難かもしれない。そんなことを考えていると心地よいタクシーの揺れも手伝って私はどんどん眠たくなっていった。

遠のく意識の中で「おい、しっかりしろ」「大丈夫か、どうするんだよ?」と焦ったような皆川先生の声を聞いた気がする。