3年ぶりに一緒に入った検査。
あの頃より少し知識も増え、場数を踏んで経験値の上がった私は皆川先生のサポートについた。

カメラの位置も、映し出される画面の角度も、患者さんとの距離まですべてが昔のまま。
皆川先生仕様の検査室は、私にとっても居心地のいい空間だった。


「うん、思ったよりきれいだね」
さっきまでカメラが回らなくて苦戦していたはずの皆川先生は、映し出された映像にホッとした表情。

「そうですね、いいですね」

カメラのサポートをしながらカルテの確認をする私も、患者の状況が想像よりいいことに気が付いていた。
カメラの結果が悪ければすぐにでも手術になるはずだったけれど、この様子ならもうしばらくは内科的治療でいけそう。

「じゃあ、終わろうか?」
そう声をかけられる前から、私は片づけを始めている。

良い時も、悪い時も、皆川先生の行動はよくわかる。
だから、一瞬早く次の準備をするのが私のこだわり。

「すごい、息ぴったり」
近くにいたスタッフがぼそりとつぶやく。

そりゃあそうよ、私にカメラを教えたのは皆川先生なんだから。