ガラガラ。
木製の大きな玄関引き戸を開ける。
「ただいま帰りました」
「おかえりなさい」
私の声に応えるように、家の奥から女性の声がした。
病院から車で十五分。
駅からも少し離れた田園の中に立つ豪邸が、私のお世話になっている副院長のお家。
いかにも昔の豪農のお家らしく、広い敷地に平屋造りの日本家屋。
とはいえ古臭いわけではなく、きちんとリフォームしてオシャレな古民家風の家になっている。
「おお、やっと帰ってきたね。遅いからもう一度川本に電話しようと思っていたところだった」
言いながら出てきたこの家の家主の手には、しっかりと携帯が握られている。
「副院長、やめてください」
川本って言うのは消化器部長のこと。
医師として先輩であり上司でもある副院長は、私に何かあるとすぐに部長に言ってしまう。
「何を言っているんだね。こんなに疲れた顔をしているくせに」
「それは・・・」
まさか昔の古傷を思い出して体調を崩したなんて言える訳もなく、私はうつむくしかない。
木製の大きな玄関引き戸を開ける。
「ただいま帰りました」
「おかえりなさい」
私の声に応えるように、家の奥から女性の声がした。
病院から車で十五分。
駅からも少し離れた田園の中に立つ豪邸が、私のお世話になっている副院長のお家。
いかにも昔の豪農のお家らしく、広い敷地に平屋造りの日本家屋。
とはいえ古臭いわけではなく、きちんとリフォームしてオシャレな古民家風の家になっている。
「おお、やっと帰ってきたね。遅いからもう一度川本に電話しようと思っていたところだった」
言いながら出てきたこの家の家主の手には、しっかりと携帯が握られている。
「副院長、やめてください」
川本って言うのは消化器部長のこと。
医師として先輩であり上司でもある副院長は、私に何かあるとすぐに部長に言ってしまう。
「何を言っているんだね。こんなに疲れた顔をしているくせに」
「それは・・・」
まさか昔の古傷を思い出して体調を崩したなんて言える訳もなく、私はうつむくしかない。



